委託連載「蔵元達との思い出」その6:「山形正宗」編 5
- 2015/05/27
- 18:17
■委託連載「蔵元達との思い出」 山形正宗編 5会話がひと段落ついたところで、じゃ、蔵でも回ろうかとなった。もちろん、私は蔵見学にきているのだから。蔵は夏場でメンテナンス中でもあり、山形の盆地特有の熱気から解放された、仄暗くひんやりとした空間だった。1階の広々とした空間に緑色のタンクが並び、打ちっぱなしのコンクリートからは熱気が冷やされる心地良さ、2階へ登る木の階段の踏みしめるたびに沈み込むような感...
委託連載「蔵元達との思い出」その5:「山形正宗」編 4
- 2015/05/22
- 10:46
■委託連載「蔵元達との思い出」 山形正宗編 4水戸部氏とのおつきあいは、自信のあるお酒や実験的なお酒ができた時の連絡がメインであったが、ファックスではなく電話でのものだった。電話の向こうから聞こえてくる水戸部氏の様子から、そのお酒の出来栄えが想像でき、とても楽しみにしていた。ある年のこと、「今までと造りを大きく変えているので、今年の夏酒は楽しみにしててください」と連絡があった。前年までは加水してサ...
委託連載「蔵元達との思い出」その4:「山形正宗」編 3
- 2015/05/20
- 16:39
■委託連載「蔵元達との思い出」 山形正宗編 3しかし、この時希望通りの発注ができなかったことが、山形正宗の定番酒と安定したファンを作る土台となった。私自身焦りすぎていたのだった。水戸部氏の言葉は、先ず、売り手側の酒屋がその蔵のお酒の味を知り、覚え、伝える事の重要性を教えてくれた。そして、蔵元とよく対話し、蔵元が大事にしていることを察知し、その思いに応えていくことを学んでいった。目標の「山形正宗 稲造...
委託連載「蔵元達との思い出」その3:「山形正宗」編 2
- 2015/05/18
- 15:57
■委託連載「蔵元達との思い出」 山形正宗編 2だからと言って、直ぐにお酒が売れるようになったわけではなかったし、また、焦ってもいなかった。ところが、9月の半ばというときに、突然、蔵元からお酒が送られてきた。先輩に「これは、どういうこと?」と聞くと、「ノルマを達成できてないってことだよ」とあっさり言われた。女将に見てもらうと「こんな、いきなりなの」と驚いてしまい、少し間をおいて「毎月5ケースを目標に...
委託連載「蔵元達との思い出」その2:「山形正宗」編 1
- 2015/05/16
- 16:00
■委託連載「蔵元達との思い出」 山形正宗編 1山形正宗(水戸部酒造)水戸部酒造は、1898年(明治31年)創業、「山形正宗」を醸造する山形県天童市の蔵元。山形県内では「酔芙蓉」ブランドの純米大吟醸も知られている。五代目の若き蔵元、水戸部朝信さんが蔵に戻ってから着々と改革を進め、現在では全量純米酒を醸造している。13BYから醸し始めた山形正宗は特約店限定ブランド。全量小仕込み、万全の品質管理で約700石を...
委託連載「蔵元達との思い出」その1:はじめに
- 2015/05/16
- 15:45
これは親交のある元・酒販店員:N山さんの随想の連載です。自分が飲食業界に入って間もない頃から、色々お酒の事を教えて頂いた恩人の一人です。N山さんはここ数年体調を崩して療養の生活を送っていますが、遠からずお酒の業界に復帰したいと熱い魂を燃やしております。10年前は殆ど無名だった地方の地酒蔵元が、N山さんのような情熱をもった全国の酒販店と、協力しあい、時に意見を衝突させながら、現在は多くの地酒ファンが愛...